これを書いているヒト

2013年1月29日火曜日

本を読みながら2009年以降の日本の風景を振り返ってみた 橋本治「橋本治という立ち止まり方」

今度の選挙で自民党が大勝したのは、民主党にいやけがさした人が多かったからだろう。「いやけがさした人が多かった」だけで政権交代が起こってしまうのはすごいが、それは逆に、「国民にいやけがささなければ政権交代は起こらない」ということで、「政策論争」などというものは、その次にあるということだろう。 (橋本治「橋本治という立ち止まり方」)
 のっけから何事かとおもわれるでしょうが、これ2009年の民主党への政権交代が起きた時に書かれた文章です。オリジナルは”自民党”と”民主党”が逆です。でも、そのまま党名差し替えたら、2012年の自民党勝利の背景もこんなもんだったんじゃないかな、と。(熱烈な自民党支持者は別として)

日本人は民主主義というものを、「誰もがそれぞれに意見を言って、権利を主張することだ」と理解して来た――どうもそうだとしか思えない。だから、各人のエゴは野放しになる。野放しになって、「このエゴをどこかが調整してくれるから大丈夫」と考えていて、「このエゴを受け入れてくれないのは、エゴを調整 する″主体″が間違っているからだ」と考え続けていた。 (同上)
後先考えない〇〇デモなんかは最たるもんでしょうが、あの収拾のつかなさ加減は 、「このエゴをどこかが調整してくれるから大丈夫」と考えてて自分たちで落とし前をつけるという発想がないからなんですかね。


民主主義というのは「多数決で決着をつけるもの」ということになっていて、だからこそ「民主主義=多数決」という短絡したことにもなりかねないが、私は民主主義というのは、「その決着の前にまず人の話を聞くこと」なんじゃないかなと思っている。 (同上)
対話っていうのは「人の話を傾聴する」からはじまるもんだと、私なんかは思っていて、一方的に対話しましょうとかドカドカ押しかけて行ってやるもんじゃないよなー、でも世間じゃそんなふうに考えちゃいないんだろーな、などと斜め上の空見上げてため息ナゾついてみたりするんですが、さていつになったら「人の話を聞く」を身につけられるんでしょうかね。何か言われると人格まで否定されたように身構えて、戦闘状態になっちゃうヒト多いみたいですから。

「いやけがさしたら政権交代」というのはキーワードとして興味深いです。これで次の選挙で、いわゆる「第三極」に大量に票がいったら、やっぱり日本では”「政策論争」などというものは、その次にあるということだろう。”ってことですね、きっと。

では、また。

橋本治という立ち止まり方 on the street where you live橋本治という立ち止まり方 on the street where you live
橋本 治

朝日新聞出版 2012-10-19
売り上げランキング : 175902

Amazonで詳しく見る by G-Tools

0 コメント :

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...